東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べるため、福島県が18歳以下の約36万人を対象に行っている甲状腺検査の1次検査で、がんの疑いがあり「直ちに2次検査が必要」と初めて判定された子どもが1人いることが17日報道されました。
チェルノブイリ原発事故ではガンの発症までに4年かかったと言われているため、現時点では放射能汚染との因果関係は低いとみられています。
福島県 甲状腺がんの疑い初めて1人判定の詳細
18日に開かれる「県民健康管理調査」検討委員会で報告されます。
調査を進めている福島県立医大は「チェルノブイリ原発事故でも甲状腺がんの発見に最短で4年かかった」として、放射線との因果関係は低いとみているが、血液や細胞を調べ、がんかどうか判断する。
1次検査による判定は、しこりの大きさなどを基に、軽い方から「A」「B」「C」があり、今回の1人は「C判定」。
9月の検討委では、緊急性は低いが念のため2次検査が必要という「B判定」だった1人が、甲状腺がんと判明したと報告された。
だが、がんの状態から「震災以前に発症していた疑いがある」として、原発事故の放射線との因果関係を否定している。
県立医大は「県内全ての子どもの検査という前例のない調査なので、早期発見の子は少なからず出る。放射線との関係を丁寧に調べていく」としている。
甲状腺がん検査概要と自然発症率
今回の検査概要ですが、福島県が18歳以下の36万人を対象に行なっている甲状腺ガンの検査で、現在までに10万人程度の人が検査を受けています。
判定基準はABCとあり、簡単にご説明すると、Aは以上なし、Bは緊急ではないが2次検査をしたほうがいい、Cは緊急に2次検査が必要と判定されます。
前回までの検査結果が具体的に記載された資料がありましたので下記に掲載いたします。
今回はまだ検査の途中なので、具体的に甲状腺ガンが確定したわけではありません。
前回までの検査では1人に甲状腺がんが見つかりましたが、そのガンの状態から福島原発事故以前からできていた可能性が高く、因果関係は否定されています。
では、実際に甲状腺がんの自然発症率はどの程度なのでしょうか?
それは
のようになっています。
・14歳以下だと、10万人当たり0.05人~0.1人
・成人だと、10万人当たり1.5人となっています。
いずれも年間の発症率です。
今回甲状腺がんと確定し、福島原発事故以降に発症した可能性が高いのであれば、現在の検査人数約10万人に一人という割合になりますが、合計36万人ほどの検査になりますので、1人が発症したからといって原発事故の影響とはまだ断定はしかねると思います。
ただ、今後残りの26万人の中にさらに甲状腺ガンの子供が複数発見された場合には、自然発生率との関係から見ても福島原発の影響による可能性が高くなってきます。
当ブログでは検査の続報が届く次第、掲載していきます。